2023.05.16
保険の補綴物と自費の補綴物の違い
こんにちは!辻中歯科医院のTC(トリートメントコーディネーター)です。
今回は保険適用の補綴物の種類や自費補綴との違い・メリット/デメリットについてご紹介します。
「補綴物」とは?

聞きなれない言葉ですが、代表例は「銀歯」です。少し大きな虫歯の治療で用いられることが多く、多くの方のお口に1つは入っています。
補綴物には保険適用のものと自費(保険外)のものがあり、当院ではどちらも取り扱っています。
自費補綴をご検討の際は、種類や特徴、保険補綴との違いを理解して選ぶことが大切です。
保険適用の補綴物

保険診療は費用負担を抑えられる反面、素材・形態・適用範囲に制限があります。条件により自己負担が生じる場合があります。
メタルクラウン(銀歯)

一般的な銀歯は、金・パラジウム・銀・銅・亜鉛などの合金です。口腔内の酸や細菌の影響で溶出・劣化し、境目に隙間(マージンギャップ)が生じると二次う蝕(再発虫歯)のリスクが上がります。金属アレルギーの懸念もあります。
また歯周病菌の産生ガスにより硫化銀(黒変・サビ)が起こることがあり、経年的に審美性も低下します。
CAD/CAM冠(キャドキャム)
保険適用の白い被せ物で、レジン(プラスチック)+セラミックのハイブリッド素材。適用は原則4〜6番で、6番は7番残存などの条件があります(アレルギー加算等で拡大適用あり)。
白く目立ちにくい一方、経年での変色や細かな傷がつきやすく、強い噛み合わせ・歯ぎしりには不向きです。プラーク付着もしやすく、二次う蝕リスクは金属に比べても低くはありません。
自費の補綴物

自費補綴は費用は上がりますが、高い適合性・審美性・清掃性を備え、長期的に再治療リスクが低い点が大きなメリットです。
ジルコニアボンド
ジルコニア(酸化ジルコニウム)コア+セラミックの二層構造。強度と審美性のバランスに優れ、表面が平滑でプラーク付着や着色が少ないのが特長。前歯〜臼歯まで幅広く適応できます。
フルジルコニア(グラデーション)
ジルコニア単体に色調層をもたせたタイプ。高い強度+自然な色調で、審美・臼歯ともに適応範囲が広い素材です。
フルジルコニア(単色)
ジルコニア単色ブロックで作製。審美性はやや控えめですが、強度・清掃性・耐久性は十分。奥歯など色調要件が高くない部位に好相性です。
オールセラミック(e.max)
ニケイ酸リチウム系ガラスセラミック。高い透明感で前歯部に最適。強度はジルコニア系に比べやや低いため、噛み合わせの評価が重要です。表面は平滑でプラーク付着が少なく二次う蝕リスクが低いのが利点。
※いずれのセラミック系でも、強い歯ぎしり・食いしばりがある場合は稀にチッピングが起こり得ます。ナイトガード(就寝時マウスピース)の併用を推奨します。
GOLD(金歯)
の歯.png)
見た目の好みは分かれますが、生体親和性・適合・耐久性に優れます。天然歯に近い硬さで対合歯に優しい点も長所。噛むほどに馴染み、マージンのシール性が高くプラークも付着しにくいため、長く持ちやすい素材です。
今ある歯を長持ちさせるには
歯は削るほど弱くなり、神経は一度失うと戻りません。最善は「再治療を防ぐ」こと。そのために、素材選択だけでなく日々のケアが不可欠です。
- 毎日のブラッシングにフロス/歯間ブラシをプラス
- だらだら飲食(ジュース・飴など)を控える
- 定期メンテナンスで早期発見・早期対応
- 歯ぎしりがある方はナイトガードで歯と補綴を保護
虫歯にならなければ補綴治療は不要です。
長期目線で素材とケアを選び、今ある歯を大切に守っていきましょう。