2022.09.17
歯周病安定期治療について
こんにちは。辻中歯科医院予防チーム(YDH)です。
今回のテーマは歯周病安定期治療(メインテナンス)についてお話しします。
歯周病安定期治療(SPT)とは
かかりつけの歯科医院で歯周病治療を受け、ある程度落ち着いたお口の状態になった後に、定期的に検査やお掃除を行う治療のことをいいます。
SPTを行うことで歯周病の再発を防ぎ、早期に異常を発見して適切な処置を行うことができます。
SPTとは「サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー(supportive periodontal therapy)」の略で、最近では『メインテナンス』という言葉で呼ばれることが多くなっています。
メインテナンスの際にもお口の状態を確認する検査を行います
歯周病は自覚症状が少ない病気です。
歯ぐきからの出血や腫れ、歯のぐらつきに気づいたときには、すでに進行していることが多く、治療期間が長くなることもあります。
重度の場合は歯を失ってしまうこともあるため、早期発見・早期治療が重要です。
最近では、この歯周病原細菌が全身疾患(糖尿病・心疾患など)と深く関わっていることがわかっています。
検査のひとつである歯周ポケット測定では、歯と歯ぐきの間にできる溝(歯周ポケット)の深さを1歯ずつ丁寧に測定します。
YDHでは、歯科医師の指示のもと、レントゲン撮影やお口全体の状態を確認しながら患者さんのサポートを行っています。
3mm以下:正常値
4〜6mm:歯周病中等度
7mm以上:歯周病重度

歯周病治療後に症状が安定しても、深い歯周ポケットが残ることがあります。
そのままにしておくと細菌が増殖し、再発のリスクが高まります。
定期的な洗浄やケアによって、細菌の数を減らし、再発や後戻りを防ぐことができます。
歯周病は慢性的な病気であり、治療を中断したり自己判断で通院をやめてしまうと、再び進行してしまうことがあります。
一度改善した後も、メインテナンスを継続することが非常に重要です。
なぜなら、歯周病に「完治」というゴールはないからです。

辻中歯科医院は「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」です。
この制度は、歯科医師や歯科衛生士の配置数、感染対策機器の整備、訪問診療の実施など、厚生労働省の定める基準を満たした歯科医院が認定を受けるものです。
歯周病安定期治療は保険診療で受けられます。
辻中歯科医院では、YDH(予防チーム)の歯科衛生士が担当しています。
当院では、無料で位相差顕微鏡を使用し、お口の中の菌叢を観察しています。
これにより、患者さんの体調や健康状態を把握し、予防ケアの質を高めています。

辻中歯科医院のメインテナンスメニュー
- 位相差顕微鏡による細菌の量・活動性の確認
- 歯周ポケットの検査
- 歯垢(細菌の膜)の染め出し
- 歯垢・歯石・着色汚れの除去
- 機械的歯面清掃
- HMTジェル・フッ素塗布(必要に応じて)
メインテナンスの効果
- 歯垢・歯石を除去することでお口の中がすっきりします。
- 汚れの再付着を防ぎ、清潔な状態を保ちます。
- 歯磨きでは届かない歯周ポケットの中の細菌も除去できます。
- お口の中の細菌数が減少します。
- 体調や免疫力の向上が期待できます。
- 風邪などのウイルス感染予防につながる可能性があります。
近年、歯周病原菌は歯周病だけでなく、糖尿病・心筋梗塞・アルツハイマー型認知症など全身疾患にも関与しているといわれています。
歯周病安定期治療は、再発防止だけでなく、全身の健康維持にもつながります。
生涯にわたって自分の歯で食事を楽しむことは、まさに人生の財産です。
日々の歯磨きやセルフケアに加え、定期的なメインテナンスを継続することで、お口と体の健康を守りましょう。