こどもの矯正治療の歯並びの状態と費用と期間について
当院でも多くのこどもさんが診療にきて頂き、診療所が賑やかで華やかなひと時と
なります。当院の女性スタッフたちもお子さんたちから元気をもらい、生き生きと仕事させて頂いております。
まずはお子さまの歯並びの状態と年齢と装置から説明させて頂きます
「歯並びの状態」
1.出っ歯
2.前歯のデコボコ
3.受け口
4.開口
5.すきっ歯
6.過蓋咬合
不正咬合は大きく分けて上記6種類に分類されます。
こどもの年齢に合わせた矯正装置
こどもの矯正は乳歯列が残存する3歳から11、12歳くらいです。
年齢的には3歳から5歳までは中々矯正装置を安定してお口の中に入れることが難しく、
こどもの成長の状況に合わせて当院では5歳前後からスタートさせて頂いております。
当院では5歳から8歳までの矯正装置は「プレオルソ」
9歳から11歳までの乳歯と大人の歯「永久歯」が混在する混合歯列期は
「*1)インビザラインファースト」を使用しております。
*1)インビザラインファーストは製造元のアライン社の規定に合致しないと8歳から11歳でもインビザラインを用いての治療を提供できません。
矯正にかかる費用
プレオルソの費用
プレオルソは10万円(税込)「治療費は毎回3000円」
インビザラインファーストは50万円(税込)「治療費は無」
但し、当院にてプレオルソでは治療が完了せず(規定通りプレオルソ装着されていた場合で)当院にてインビザラインファーストに移行した場合、インビザラインファーストの値段は40万円「10万円値引き」となります。
プレオルソは1年間の治療カリキュラムで通院間隔は1か月半から2か月毎となります。
すなわち、1年間で治療回数は6回から8回となりますが、成長スピードによっては期間が2年など延長になる場合があります。
※1年を超えるプレオルソの長期使用による劣化、摩耗、咬耗、破損は再購入を3万円でお願いしております。
インビザラインファーストの費用
インビザラインファーストの場合は製造元のアライン社の規定により18か月の治療カリキュラムとなっております。18か月を超える場合は当院では、時機を見て本格的な矯正「期間は最大5年」への移行とさせて頂いております。
尚、当院でインビザラインファーストから本格的な矯正に移行した場合には、本来の本格的な矯正費用85万円の費用を35万円値引きさせて頂き50万円の費用で申し受けさせて頂いております。
こどもに矯正が必要な理由
それではなぜ、大人になってからではなく、こどもの時期に矯正したほうが良いのでしょうか?その理由は大きく4つあります。
1.大人の骨と比べ骨がやわらかいので歯が動きやすい
2.大人の歯を抜かないで矯正が終わる場合がある「大人になって親知らずは抜く時あり」
3.こどもの口腔悪習癖や姿勢の悪習癖を早期に取り除き、後天性の不正咬合になりにくくする
4.こどもの上顎の成長は脳の発達成長の影響を強く受け10歳で80%成長が終わっているので急ぐ必要がある
小児矯正装置の作用と、こどもの歯並びの状態
次に上記の不正咬合の歯並びは各装置のどういった作用機序を受け改善に向かうのか説明いたします
1.出っ歯「いわゆる上顎前突」
口輪筋の作用が弱く、しまりが弱いと出っ歯に見えやすいので「プレオルソ」を使って口輪筋の作用を高めます
又、下顎劣成長による出っ歯はくいしばりや歯ぎしりによる下顎後退も考えられる為、8歳まであればプレオルソで夜間の歯ぎしり防止8,9歳以降であればインビザラインファーストによる下顎臼歯挺出が良いです
これは顎の大きさが歯の大きさに比べて小さいことが原因なので、年齢によって
プレオルソやインビザラインファーストで対応すれば早期に改善が見込まれます。
3.受け口「いわゆる反対咬合」
親御さんが気付いた時点で早ければ早いほど良い治療結果が得られます
プレオルソで対応すると症例にもよりますが「3か月」で完治する場合もあります
是非、上顎の切歯縫合が閉じる11歳までに対応してください
4.開口
開口の場合は口輪筋のしまりが悪い場合や乳児嚥下癖が残存している場合があります。
これはプレオルソやインビザラインファーストを使いながら、当院では筋機能訓練「MFT」をスタッフがこどもたちに実施させて頂いております「別料金は発生しません」
5.すきっ歯
一般的に生え変わる時はスムーズな交換の為に隙間が欲しいのである程度の隙間は許容範囲内です。レントゲンやCTで生え変わりのスペースを確認致します。
ただ、顎のアーチに比べて舌が大きかったりする場合にもすきっ歯になったりします
その時は安静位の時舌がスポットといわれる位置に収まるよう筋機能訓練「MFT」を行います
6.過蓋咬合
これは上の前歯が下の前歯を2ミリ以上隠れている場合にこう表現されます
下顎後退しているときに過蓋咬合になるときもあります
それ以外に口輪筋の作用が強すぎたりして上の前歯が内側に倒れてくると過蓋咬合になりやすいです
年齢によってプレオルソやインビザラインファーストを使います
又臼歯が頬側や舌側に倒れていたりして咬合高径「上と下の奥歯の高さ」が低い時も
過蓋咬合になる時があります
この場合はプレオルソやインビザラインファースト又は特別な矯正用のゴムを使ったりします
プレオルソとインビザラインファーストについて
次にプレオルソとインビザラインファーストの各装置の直接的に歯並びを治す以外の目的を説明いたします。
プレオルソについて
最大の効果は『歯並びが悪くなる原因を除去します』
1.プレオルソの適応年齢
適応年齢が5歳から8歳なので永久歯も掴める程、出てきていません
すなわち、歯に矯正力をかけられない状態ですので、歯が植立している顎を
大きくして歯が出てきやすいように顎を大きくしたりします。
2.プレオルソの作用
舌を正しい位置に誘導したり口輪筋の作用を適正にします。
3.プレオルソの呼吸への影響
口呼吸から鼻呼吸に改善させ低位舌や乳児嚥下を取り除きます
このような効果が発揮されると仮に矯正期間が足らず、将来本格的な矯正が必要になったとしても、プレオルソによって顎や筋肉が育っているので抜歯も回避でき、矯正装置を外したとしても後戻りのしにくい歯並びとなります
こどもの歯並びの状態の中で1から6の症状の内、特に治療の緊急性が高いのが「受け口と言われる反対咬合」となりますが、プレオルソとの相性は抜群です。
早ければ早いほど効果が期待できます。
又、放っておくと将来抜歯だけで済まず、外科処置まで必要なケースもあります。
その理由として
一般的に上の歯並びが下の歯並びよりアーチが大きいのですが、
反対咬合のままですと下の前歯が上の歯をブロックして上の前歯が唇側に出られず、上あごの成長を阻害します。
そうなると歯が植立している上顎のアーチまで成長できなくなってしまい、上の前歯がデコボコになりやすくなります。
スキャモンの成長発育曲線によると上顎の成長は10歳で80%終了していますが、下顎は80%成長するのに16歳までかかります。
インビザラインファーストの特徴
最大の効果はズバリ『上顎のアーチの拡大です』
1.永久歯の萌出スペースの確保
適応年齢が「混合歯列期である」8歳から11、12歳でこの時期は上顎切歯縫合が閉じておらず、上顎のアーチ(歯並びの歯列弓)拡大を急務といたします。
上顎のアーチを頬側や唇側に拡げることによって前歯や奥歯の永久歯萌出スペース確保を行います。
2.歯並びの歯列弓の拡大と鼻呼吸
切歯縫合が閉じる前に縫合を拡げて上顎のアーチを拡大することによって、鼻呼吸がしやすくなり、鼻呼吸できると鼻道の上の1~2㎜の厚みしかない骨の上の前頭葉を冷やし脳の温度を冷ますことができます。又、鼻を通った空気は鼻毛で異物が取り除かれその後温められて気道に入りますので気管支を痛めることもないです。
逆に上顎のアーチが狭く鼻呼吸しづらいと口呼吸がちとなり、冬の冷たい空気などが口を通り空気が温められることなく気道に入り気管支を痛める原因にもなります
インビザラインファースト矯正の症例
afterにはきちんと霊長空隙を設定しております
霊長空隙とは大人の歯との交換時の調節的役割があり、スムーズな生え変わりの為に必要な空隙です
まとめ
小児矯正は歯並びをきれいにするだけでなく、顎骨を拡げて口呼吸から鼻呼吸へ誘導し脳の成長発育に寄与することが望めます!11歳が切歯縫合が閉じる基準となるのでお早めに近くの歯医者さんに相談しましょう。
辻中歯科医院ではお子さまが怖がらず、継続して矯正治療が受けられるよう、全ての患者さんにビフォーアフターの写真やより効果的結果が得られるように筋機能訓練「MFT」も同時に行っています。