医療法人良光会 辻中歯科医院

摂津市千里丘でマウスピース矯正・予防歯科ならJR千里丘駅徒歩1分の辻中歯科医院へ

ホームブログページ ≫ お口の中の細菌について ≫

お口の中の細菌について

こんにちは辻中歯科医院歯科衛生士予防チームYDHです。先日、大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室教授天野敦雄先生が大変お忙しい中、辻中歯科医院にお越し頂きました。『豹変するバイオフィルム』について講義して頂きました。短時間ではありましたがとてもわかりやすくユーモアがあり笑いもありとても楽しく有意義な時間でした。

今回は天野敦雄教授のお口の中の細菌についての講義のお話をさせていただきたいと思います。

講義中の様子

お口の中の細菌はどの様な菌が虫歯や歯周病になるのか

天野教授のお話しの中でお口の中の菌が『豹変するバイオフィルム』のお話がありました。実は虫歯と歯周病は常在菌による感染がおこることや、常在菌は完全に追い出せない‼️と言う事を教えていただきました。患者様の免疫が下がってきて歯垢も増えてきてくると常在菌がどんどん悪玉菌に変わってきます。この時に虫歯や歯周病がおこります。

細菌のエサ、歯垢とはなんでしょう?

プラーク(細菌の塊)には縁上プラークと縁下プラークがあります。

・縁上プラーク

虫歯に関わり、酸性で糖質を好み、好気性菌(酸素が好きな菌)である。

・縁下プラーク歯周病に関わり、アルカリ性でアミノ酸を好み、嫌気性菌(酸素が嫌いな菌)で炎症を引き起こす。

細菌の膜=バイオフィルムの高病原化“dysbiosis”について

私達は毎日食事をします。食事をすると食後30分の間に脱灰が進むと言われています。なので食後30分以内にブラッシングをおこなう様にしましょう。

特に唾液の少ない方や高齢者は元のpHに戻るのに60分かかると言われています。

昭和の常識と令和の常識について

ではここで昭和の虫歯予防と令和の虫歯予防についてお話しさせていただきます。昭和の虫歯予防の常識には3・3・3の法則があります。どういうことかと言うと・食後3分以内のブラッシング・1日3回ブラッシングを行う・3分間歯磨きをする事です。食後なるべく早く歯磨きをしていくことをお勧めしていますね。では次に令和の常識は、虫歯予防の歯磨き=ブラッシング目的は酸を産生する細菌のエサとなる発酵性糖質を取り除くとともに、歯垢=プラークを取り除いて、酸を出させないようにすることです。令和の虫歯予防の常識を簡単に説明していくとやはり『食後すぐ』が正しい歯磨き=ブラッシングですね。結論を言うと、昭和の常識が正しかったということですね。昔も今も同じですね(^^)本当は甘いものを食べないがベスト、歯磨き=ブラッシングをしっかり行って、フッ化物を取り入れる事をお勧めしております。

辻中歯科医院2階の予防ルームでは虫歯予防として・定期的に、9000ppmのフッ化ナトリウム(フッ素)を塗布すること。・毎日、フッ化ナトリウム(フッ素)含有ペーストを使用すること。穴のあいていない白濁は9000ppmのフッ化ナトリウム(フッ素)で治る‼️と天野教授に教えていただいた通りに患者様へ役立てております。

お口の中の細菌について歯周病原細菌のRed complex(レッドコンプレックス)が棲みついてしまうとどうなるのか?

お口の中の細菌について歯周病原細菌のRed complex(レッドコンプレックス)が棲みついてしまうと歯周病は悪化します(;;)。Red complexは歯周病原因細菌の代表的な菌です。歯周病原因細菌はタンパク質と鉄分やが好きなんです。ここからRed complexの代表的な菌をご説明させていただきます。

歯周病代表的な菌=Red cmplexの一つであるP.g菌は18歳以降に棲みつきます。嫌気性菌と言って酸素の嫌いな菌です。歯と歯茎の境目には溝があり歯周病ポケットと言いこの歯周ポケット4㎜以上の歯周ポケットに棲みついてしまいます。

P.g菌はアルツハイマー型認知症にも関わりが深いと言われています。

歯周病原細菌は誰から感染するのか?

家族、友達、パートナーからの唾液感染と言われています。また食器についた唾液、ペットからの感染もあるので皆さん注意しましょうね。

歯茎から出血ある時と出血が無い時について

歯茎から出血がある時は病原細菌に栄養があると言うことです。また歯茎から出血がない時は病原細菌に栄養がないと言うことになります。歯周病治療では先ず・病原性を少なくする。・出血を止める。・出血を減らす様に私達は歯周病治療や予防をおこなっています。

なので、出血を見逃さずに、口臭を見逃すな‼️と言う天野教授の学びを辻中歯科医院では取り入れています。出血のある方はすぐに歯科医院に行きましょう‼️

歯科医院の保険治療は時代で変わっていきます

歯科医院の保険での治療や予防でもお口の中の状態を管理しておりましたが、近年では様々な病気の原因は歯周病との関わりが深いと注目されていますね。地域の各病院や施設との連携も辻中歯科医院では積極的に行っております。

管理内容は・歯のエナメル質の管理・歯茎を取り巻く歯周組織の管理・お口の全体の筋肉口腔機能管理そして治療時の医療管理です。

医療管理とは

高血圧症、糖尿病、心臓疾患等々血液に関わる病気の患者様へ歯周病の治療や予防時に時には血圧測定や酸素飽和度を計測し地域との連携を取り入れて治療時へと役立てています。

天野教授の講義の時間

天野教授は大変ご多忙でなかなかお会いするのが難しいと聞いておりました。ご多忙の中、辻中歯科医院に来て頂きとても感謝しております。天野教授が来ていただいたのも1ヶ月に1度私達歯科衛生士達の研修講師のHM‘scollectionの濵田真理子先生、そして辻中歯科医院理事長辻中光治理事長のお陰だと感謝しています。“豹変するバイオフィルム”についてのお話を分かりやすく説明いただき楽しい学びの時間になりました。

新たに勉強になったこと、今までの知識の再確認ができてとても良かったです。

天野教授の講義の時間
天野教授と当院のスタッフ

天野教授の講義後すぐに辻中院長が買ってくださいました。ありがとうございました。

新人さんからベテランさんまでわかりやすく書かれていてとても勉強になります。

天野教授の本

天野教授の本のご紹介

天野教授の歯科衛生士お勧めの本になります。

①【著】天野教授カリオロジーダイジェストの中より

本の内容説明

歯面の臨界pHについて歯冠う蝕臨界pH5.5 (エナメル質の脱灰が始まる)根面う蝕臨界pH6.0〜6.5(象牙質の脱灰が始まる)う蝕(虫歯)常在菌よる感染症‼️う蝕原因菌の母子伝播は絶対に避けるべき❓答え→それほど神経質にならなくてもよい。

昭和の常識→う蝕原因菌は『感染の窓』と呼ばれる生後19ヶ月〜

31ヶ月の期間に両親(主にお母さん)から伝播すると言われていました。

う蝕予防には、まず母子伝播をさけることと考えられていて母子が食器を共有しないことなどにより、大人の唾液が幼児の口腔内にはいらないようにすることがもっとも大事でした。また、両親のう蝕治療と口腔清掃により、う蝕原因菌の量を減らしておくことも大切です。

(令和でも大事なことです)令和の常識→母親からの伝播がもっとも頻度が高いものの、両親だけではなく祖父母、兄弟そして友人からの伝播もあることがわかりました。一方、う蝕原因菌の伝播はないほうがいいけれど、ミュータンス連鎖球菌だけがう蝕を起こすわけではないことがわかったため、う蝕を発症させるすべての細菌種の伝播を防ぐのは難しいこと、そして、伝播しても食事指導やフッ化物の使用、適切なブラッシングで発症が予防できるため、それほど神経質になる必要はないという考えが広がっています。過度なう蝕原因菌の伝播予防は親子関係を損なう可能性があることも理由の一つです。

①【著】天野教授カリオロジーダイジェストの中より

天野教授本のご紹介パート2

②【著】天野教授ペリオドントロジーダイジェストの中より

本の内容説明

歯周病菌はレッドコンプレックス(Red complex)は歯周病患者の歯周ポケットから高い頻度で一緒に検出されることがわかりました。レッドコンプレックスは3菌種あります。

P.g菌、T.f菌、T.d菌の3菌種の中でP.g菌が最強です。

この3菌種を同時に感染させると互いの病原性を高め合うことも発表されました。そのためこの3菌種はもっとも高い病原性をもつ歯周病菌団と考えられ、レッドコンプレックスと名付けられました。唾液感染は家族からの感染、だけではない‼️

歯周病原因菌に限らず、口腔細菌は唾液感染により定着し常在菌となります。他人の唾液でうつるのです。では、誰の唾液か。

虫歯菌は『1歳半頃から母親からの唾液感染により定着する頻度がもっとも高い』ことが知られています。

それと同じように、大多数の常在菌は母親あるいは家族の唾液から感染しています。ところが、レッドコンプレックスだけはそうではないのです。T.f菌とT.d菌の検出頻度は中学生になってから急に高まります。この年齢になると日常の活動範囲が広がり、家族以外の唾液感染の機会が増えると考えられます。そのため、唾液感染は家族由来だけではなく、友達などからの感染も報告されています。P.g菌の感染は18歳以降に本格的になります。歯周病原因菌ピラミッドの完成を防ぐには、P.g菌の感染を避けなければなりません。18歳頃からは他人の唾液に気を付けた方がいいでしょう。

②【著】天野教授ペリオドントロジーダイジェストの中より

お口の中から常在菌をゼロにすることはできませんが、

虫歯も歯周病も感染が原因です。上手くコントロールすることで予防できる病気です。

ホームケアも大切ですが定期的に虫歯のチェックやクリーニングをオススメします。

まとめ

最後に私達辻中歯科医院2階の予防ルーム歯科衛生士YDHは最新の技術と知識を常にアップデートして日々の診療に役立てております。また辻中理事長は咬み合わせから健康へと様々な知識があり些細なことでも構いません、インビザラインの無料診断も承っております。どうぞお気軽に来院頂けましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

2024年06月30日 00:00