歯の痛みについて
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歯の痛みについて
みなさん、こんにちは。辻中歯科医院のドクターです。8月も終わり夏も終わりましたが
まだまだ暑いですね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回、ご紹介致しますのは、いわゆる、歯の痛みについてです。
そもそも痛みとは?
痛みとは教科書的には、実際に何らかの組織損傷が起きた時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような不快な感覚体験および情動体験とされており、大きく分けて3つの種類があります。
いわゆる怪我などで損傷することによる侵害受容性疼痛、神経自体が損傷することによって直接痛みが起こる神経障害性疼痛、社会的要因などで脳自体に痛みを感じる心因性疼痛の3つです。
歯による痛み、すなわち歯痛は教科書的には歯科疾患によって起こされる、歯または歯の支持構造(歯ぐき)の痛み(歯原性歯痛)、または、非歯科疾患によって引き起こされる歯の痛み(非歯原性歯痛)があるとされています。では、なぜ硬組織である歯が痛くなるのでしょうか。
歯が痛くなるとは
歯が痛い。と言っても冷たいものでしみるだけ。であったり、何もしてなくても歯がズキズキ痛むことがあることや甘いものを食べるとしみる。など症状は様々あります。
歯痛の原因はいわゆる虫歯や歯周病が一般的に多いですが、噛み合わせや他に歯以外の全身疾患も関係していることもあり、痛みと言っても原因は多々あります。
歯の構造についてご説明しておきます。歯は外側からエナメル質、象牙質、セメント質と3層構造になっております。
エナメル質・・歯茎から上の部分。神経がないため痛みは感じない
表層にあるため我々が一番目にしている
象牙質・・・・象牙質はエナメル質より軟らかい
いわゆる、「浸みる虫歯」とはこの象牙質まで進行している虫歯のこと
内側には歯髄と呼ばれる神経が通っており、虫歯が進行するとこの神経ま
で波及し歯髄に炎症反応が起き痛みが出てくる。
セメント質・・歯の根っこの表面にあり歯を支えている。基本的に歯茎が下がらない限り見
えない
歯髄(歯の神経)・・・・歯の痛覚を司る組織。虫歯が歯髄まで進行した場合歯、神経治療が 必要になる
歯由来の痛みについて
1:虫歯
虫歯とは教科書的に口腔内の菌(ミュータンス菌)が産生する酸で、歯が溶かされた状態
のこととされています。いわゆる、「熱いものや冷たいものを口に含むと歯が浸みる」や「痛みが持続する」「叩くと響くような鋭い痛み」などが一般的な特徴です。
いわゆる、ミュータンス菌は、お口の中に残った砂糖をはじめとする糖分を栄養分として、歯の表面にくっつき、増殖して歯垢(プラーク)を形成します。またミュータンス菌は糖分から同時に乳酸を作るため、歯垢(プラーク)内部は徐々に酸性になっていき歯の表面のエナメル質を溶かしていきます。そうして、穴が空いてしまうと虫歯となります。
虫歯になったエナメル質をそのまま放置したらどうなるでしょうか。
象牙質に進行していき歯髄の神経や血液にまで虫歯の細菌が達します。(歯髄炎)
歯髄炎になった場合は、ズキズキしたい痛みやさらに悪化した場合などは根っこが化膿して悪影響が出ることもあります。
初期の虫歯は再石灰化によって自然修復可能ですが、歯髄まで進行した場合は、歯の神経を抜く必要があります。
また、子供ではえたばかりの永久歯はエナメル質が未成熟なため生えてから2〜4年は最も虫歯になりやすいとされております。
2:知覚過敏
知覚過敏とは教科書的に様々な要因によってエナメル質が損傷して象牙質が露出してしまい、外部からの刺激が内部の神経に伝わりやすくなって痛みを感じる疾患とされています。
熱いものや冷たいもので浸みるのは虫歯と症状が似ています。
加齢や強めのブラッシング、歯ぎしりなどで歯茎が後退することにより象牙質がむき出しになることにより知覚過敏は起こります。
3歯の破折
転倒などによる外傷、歯ぎしりによる破折によって破折部から細菌感染を起こし痛み、炎症を引き起こすことがあります。歯の根っこが割れた場合は抜歯が必要になることがあります。
h3歯ぐき由来の痛み
歯ぐき由来の痛み
1歯周病
歯周病とは、一般的に歯を支える歯ぐきや骨(歯槽骨)などの組織が破壊される炎症性疾患の総称とされており、40歳以上の日本人は8割が罹患しているとされております。
歯周病は歯茎のみに限局した歯肉炎と歯槽骨まで波及した歯周炎と2つに大別されます。
歯周病の原因は主に歯に付着したプラーク中の細菌とされており、プラークを放置しておくと、隣接した歯茎に炎症が起き歯と歯茎の間に数m mの隙間ができます。
歯肉炎なら自然治癒も可能ですが歯周ポケットから進行した細菌が歯周組織を破壊することにより最終的に歯が自然に抜けてしまう病気です。
2親知らず
親知らずは部分的に歯ぐきに埋伏しているため食渣がたまり。不潔になりやすい状態となっています。親知らずが原因となって、周辺の歯茎に細菌性の炎症が起こる病気を一般に智歯周囲炎と呼びます。智歯周囲炎は炎症がひどくなると口が開けづらくなったりすることもあります。
(当院では火曜と金曜で口腔外科Drに来ていただいているので抜歯に関してお悩みの方がいらっしゃれば是非ご相談ください。)
歯以外に原因があるもの(非歯原性歯痛)
歯や歯ぐきに原因がないが歯に痛みを感じるものを一般的に非歯原性疾患と分類します。
割合としては歯痛で訪れる患者さんの約1割を占めると言われています。
非歯原性歯痛の分類について
虫歯や歯周病とは痛みのメカニズムが異なってくるため治療法もそれぞぞれ異なってきます。抜歯しても改善しないことが多いです。非歯原性歯痛の分類を以下に示します
1 筋・筋膜性歯痛
顎の筋肉痛に由来する痛み。顎の筋肉のある1点(トリガーポイントと呼ばれるしこりのようなもの)を強く押すと、トリガーポイントから関連痛が発生し歯痛が再現されるもの。非歯原性歯痛のなかで最も多く、関連痛の発現部位は多くは上下臼歯部に多く見られる。症状としては、患歯の特定が困難・自発性の鈍痛、持続性の痛み。
2 発作性神経障害性歯痛
何らかの理由で神経の周りのカバーが剥がれ、小さな刺激であっても強い歯痛をを発生する症状。歯を刺激しなくても、顔面や口腔の一部を刺激することで歯痛が発生することがある 神経痛の特徴として、数秒から数分の歯痛が生じ電撃痛と表現される痛みを生じます。顔を動かしたり触らなければ痛みは生じないが食事、飲水、会話などで痛みが生じます。
3 持続性神経障害性疼痛
歯科治療後に長引く痛み(外傷性神経障害性疼痛)と帯状疱疹による歯痛の2つに大別されます。外傷性神経障害性疼痛は親知らずの抜歯やインプラント手術で顎や歯に走っている血管を損傷した時に生じることがあります。
4 神経血管性歯痛
偏頭痛や群発性頭痛の症状の一つに歯痛を生じる場合があります。この場合、歯ではなく頭痛の治療が必要となります。脳の血管に分布する神経は顔面の痛みの神経と合流するため頭痛と同時に歯痛が生じることがあります。
5 心臓性歯痛
心筋梗塞などの心疾患に関連した歯痛で、運動により痛みが生じることが報告されている。この場合は早急に心臓の専門医を受診することが必要になります。痛みのメカニズムとして迷走神経を通じた関連痛として考えられています。
6 上顎洞性歯痛
上顎の奥の空間に炎症が生じる疾患。風邪などに伴う、鼻の影響による副鼻腔炎の場合は耳鼻科での治療が必要になります。歯痛は上顎臼歯に生じやすいです。
7 精神疾患による歯痛
身体表現性障害や統合失調症、うつ病によって歯痛が出現することがあります。この場合は精神科で専門的治療が必要になります。
8 特発性歯痛
どの分類にも当てはまらない、原因不明の歯痛。時間の経過によって判明することもあリます。
上記8つに分類されます。
最後に
今回、歯の痛みについてご紹介させていただきましたが、痛みといっても原因ありました。
現在、お口のことでお困りのことがあれば、是非スタッフまでお声かけ下さいね。
この度はお忙しい中、お読みくださりありがとうございました。